2010年03月31日

内部登用

あとで読む原田師が経営していたSOLID社では,間接職員の85%は作業員から登用された人材である.

年に2回作業員から間接職員への登用試験がある.試験で合格点を取り,人民裁判に合格すればスタッフ職員となることが出来る.

原田師は極力内部の人間の能力を高め,登用するよう努めておられたと理解している.

例えば,プラスチック成型の金型製造の能力が足りない.こういう場合中華系企業は動きが早い.そういう人材を見つけてきて雇うだけだ.
しかしこういうことを続けていると,従業員の給与テーブルに歪が発生する.

SOLID社にはかなり大型のプラスチック成型機もあるが,金型を作れるエンジニアがいない.原田師は当然これをよしとしていたはずはない.今のところ金型の修理しか出来ないと説明された時には,内心忸怩たる思いを持っておられただろう.

それでも外からそういう能力を買ってくることはしなかった.
金型の修理をしている技術員たちに,廃棄処分にした金型を,金型材料として再利用し,爪楊枝を入れるケース,小さなプラスチック椅子などを作らせていた.こういうことを通して,技術員の能力を高めようとしていたのだろう.


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2010年03月27日

第二回原田式経営哲学勉強会告知

★☆ 第二回原田式経営哲学勉強会 ☆★
あとで読む

最近作業員の採用がどんどん厳しくなってきています.
女子作業員を採用したいが,男子作業員を入れないと生産が間に合わない.
などの問題が発生している会社が多いと認識しています.

しかし男子作業員の比率が上がってくると,何かと問題が増えてきます.

今回は,SOLID社の人事部長にゲストに来ていただき,原田氏はどのように男子作業員を管理していたのか,お話をしていただきます.
その上で男子作業員の活用方法に付いて皆さんと議論・研究します.


テーマ:男子作業員の労務管理
ゲスト:SOLID社人事部長 關則堂氏
日時:4月10日(土)14:00〜17:00(13:30受付開始)
場所:新城市酒店 15階 多功能会議室
   東莞市南城区莞太路鴻福路口
会費:300元(直接会場でお支払い下さい)
懇親会:17:30〜20:00(ご希望者のみ.会費は実費割り勘)

メール送信ご参加ご希望の方は,右のアイコンをクリックしてメールをお送り下さい.




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2010年03月18日

第一回原田式経営勉強会・議事録【追補】

あとで読む第一回原田式経営哲学勉強会にご参加様より,議事録作成のご貢献をいただきました.ご貢献に感謝するとともに,皆さんと議事録をシェアしたいと思います.
【追補】もう一名ご参加者様より,議事録をいただきました.その内容を追加し改訂しました.

SOLID教育環境

関則堂部長 人事部長


関部長挨拶

私はSOLID社に2003年入社し、2005年から人事部長を務めている。
今日は、この数年の間原田さんから教えていただいた理念をお話しして交流を図りたい。
原田さんの「30年余りにわたって海外で仕事をしてきたが、自分の子供に教育するよりも長い時間を幹部教育に費やした」と聞いて感動したことがある。
今日は、皆さんとともに原田さんの理念を学ぶ機会を持たせていただき大変ありがたく思っています。
原田さんがSOLIDで推進した教育環境・仕事環境をみられた方は一様に驚かれる。中国にこのような世界的にも素晴らしい会社があるのかと。
私はたちは、これはまさに神の仕業と思っております。
ぜひ原田総経理の経営理念・方法を感じとっていただき、今後も引き続きこの会が成功することを祈っています。
この勉強会の結果が花開くことを祈っています。


人材教育を取り巻く仕事環境

  1. 員工能力開発教育モデル (3頁--以下プレゼン資料のページを表す)
    専門教育 作業既定・作業方法・知識。
    人格教育 人間力教育−−自主性・協調性・利益志向の教育 社会人としての教育。
    管理教育 どんなメンバーで効果的な結果を出すかの教育。

    出身・生い立ち環境が違う人が集まっているので、人格(人間)教育がすべての土台となる。

    作業員は1日のノルマをどうこなすか。
    管理職はより良い会社への考慮が必要。
    管理者は管理教育になる。実務スキルは少なくなる。

  2. 短期人材育成システム(4頁)
    公平・公正・公開・透明な企業文化

    • 新入社員の厳格な選抜
      人事部員でない面接官5人(部長を含む)が素質を重点に面接。
      去年の採用合格率実績30%と厳しい。
      最近広東省では求人難だがSOLIDの基準はきびいしいまま変えてない。
      生産のためでなく企業発展のために人材を採用するということを原田さんは再三言っていた。
      飲み水に汚物が入ると全部飲めなくなる。これと同じで最初から汚れてないものを入れることが大事。
      田舎から来た新入社員も良い環境にだんだんなじんで変わってくる。
      選抜の説明は1時間かかるので今日は省略。

    • 入社教育
      入ってきた人と同年代の人(入社が一年先輩)を教育係りとして任命

    • 内聘制度
      85%以上の間接職員は作業者から選抜されて上がってきた。

    • 社内在職教育

    • JOBローテーション
      部長3年 課長2年 係長2.5年で異動。
      中国では、ローテーションの途端の退職したりするが、SOLIDでは次の職場に興味を持って異動を受入れ。
      私は品質で14年経験後人事総務にローテーション。
      私が決まったとき辞めてしまうのではと言われたていたが、私自身は非常に興味があった。

    • PJ(プロジェクト)活動
      従業員の採用活動もPJ活動に入る。
      OAシステムの開発等々がある。
        毎月30前後のPJが活動している.

    • 工資体系
      社員の給与額は全部オープン。
      原田さんは当初US$50万の2年契約だった。−−驚いたことにこれもみんな知っていた。(林注:)当時原田さんはSONYに勤務しており,原田さんが50万UD$を受け取ったわけではない。
      副総経理以下全部オープン
      林さんが行ったとき全員のボーナス額を発表用模造紙に書いていたのを見た。
      誰がいくらもらっているか、いくら上がるか、ボーナスがいくらか、はポスターで張り出す。
      年末のホンパオは全員同額で100元。

    • ステップアップホリデー (SUP)
      SOLIDしかないシステム。
      3〜5か月SOLIDを離れてほかの会社に行ってよい。
      自分の田舎に帰ってもよい。
      部課長がほかのことにチャレンジしてみるチャンスを持てるようにしている。
      戻った時の職位と給料を保証する。
      工場の特質で繁閑があるので暇な時に体験させる。
      よその会社と比べてSOLIDが良いことがわかり、帰ってきたときはモチベーションが高まる。
      体験した他社の良いところを取り入れることも出来る。
      雇用調整的な側面もあるか?(林)

    • 人民裁判
      試用期間満了・間接職に昇格時に部長・課長全員が集まりインタビューの結果、得票率75%であれば可。
      明治大学のSOLID社を研究している教授が「人民裁判」の名付け親。
      無記名投票。

  3. 人格育成システム (5頁)
    最小16歳平均20歳の員工が大人になったときどんな人になるべきかをSOLIDでは考えている。
    農村では道徳・人格教育はまず行われない。SOLIDのこの教育は珍しい。
    SOLIDでは5Sや道徳を管理する小グループが編成されている。

    弁論大会・バーベキュー大会・リフレッシュホリデー

  4. 員工興趣培養システム (6頁)
    社内の先生で文化サークル
    1. 舞踊
    2. 書画
    3. 武術
    4. 語言 広東語
    5. 声楽
    6. 料理
    7. 美容
    8. 手芸
    9. 日語
    11. 電脳教育
    間接人員には15%しかなれないので、特技を発揮していくチャンスとの位置づけ。
    個人負担費用なし

  5. SOLID公開情報一覧 (7頁)
    明細は資料参照
    メディアは印刷物・電子媒体・ポスター
    財務公開項目: 事業計画・売上・利益・賃率・PRM・三か月経営予測分析
     従業員の成長のために公開している。

  6. SOLID自主制作教材種類 (8頁)
    教育方法(資料参照)
    全社公用教育(7種類) (9頁)
    専業教育とマニュアル(11種・11マニュアル) (10・11頁)
    各課教育(22課) (12頁)
    会議体制(9種) (13頁)
    会議を教育の場と位置付けている。
      朝礼では作業員が持ち回りで、お立台に上がり話をする。
    事業計画発表会は班長以上・近隣の人・ベンダーの参加可。
    OJT(随時) (14頁)
    90%の教育はOJT
    電脳室
    図書室
    多読の人の名を図書室内に掲示して読書のモチベーション促進。
    上級職も他の現場でOJTを受けること。
    説得力を高めるため弁論大会
    説得力は原田さんの重要なキーワード
    職員登用試験
    間接職員への登用試験。年二回。全社のマニュアルから出題。3度まで再受験可。

  7. 企業教育心得 (15頁)
    指導でなく育てること。
    教えることでなく育てる。
    良い教育は実践のなかから。
    意欲があれば持続できる。
    教育者は率先垂範の実力を持つべき。
    教育に興味のない人は早めに排除。
    色いろいろな場面をとらえて反復。

  8. SOLIDの社員が獲得する成長 (16頁)
    自由とわがままの区別
    自己中心 → 他者と協力できる人に
    言い訳の人が改善を望む人に
    社会人として成長した人に


質疑&議論 15:50開始

  1. SUPのときどこに行くか会社に知らせる必要あるか?
    上司とのコミュニケーションがあるので会社が知らないことはありえない。フォローアップでも上司と話す。

  2. ソリッドの最長在勤者は
    20年以上
    会社はSOLIDを早めに辞めて外に出て行くように指導している。
    高い給料が取れるよう素養を身につけなさいと指導。

  3. 情報公開すると会社が儲かっているのに給料に対する不満は出ないか
    去年も10数パーセントの昇給をした。
    自分の給料の6倍の付加価値を出しなさいと教育しているので不満ない。
    作業員から昇級した文員も経営数字を把握している。
    オーナーには売上の1%の還元を約束し実行してきた。
    経営者と資本家を分離すべき−−原田さんの考え。

  4. SUPの3か月という短期で受け入れてくれる会社をどう見つけるか?
    労働法の試用期間のMax.。そのとき入った先の会社で続けるか判断できる。
    40%は行った会社に残り戻らない。(60%はSOLIDに戻る)
    SUPに行く先は自分で見つける。
    手続き上はSOLIDを退職する人に、戻ったときの再雇用を保証する形。

  5. 出してしまうと人材の流出にならないか。
    原田さんは「経営とは人を育てること」と考えた。
    もっと自分を高めるチャンスがあるならそこに行きなさい。
    居座ると育っている下の者が上にあがれない。
    金魚鉢理論は上からごっそり変える。

  6. 採用の選抜は?
    SOLIDは当然試験がある。ストップウオッチで部品挿入の時間を計るなど。
    素直であること。向上心があること。人に迷惑をかけないこと。−−−大切
    応募者が門に入る前から観察している。
    男友達と一緒に来たのはダメ。男が動いたら一緒にいなくなる。
    試験を待っているときにゴミのポイ捨てなどしないか。
    食堂できちんと後片付けするか。
    サンダルで来たのは工場に入れてもらえない。翌日靴で来なさいという。
    面接で話し方等を見るのも重要。

  7. 雇った作業員の素質が不ぞろいのはずだが
    5日間の新人教育は、専門の教育係りでなく前年に入った人が教える。
    教育の結果2日目から新人の顔が変わる。
    「ゴミを捨てたらどうなるか。親になって子供にどう教えるか」を考えさせる。
    説得力が重要なこともわからせる。
    命令服従型でなく説得納得型の教育。
    5日で人間改造される。
    SOLIDの社員食堂では2,500人が食事したあと、机の上にも下にも何も落ちていない。

  8. 半分以上入れ替えないとできないのでは?
    参加者の取り組み事例
    自社にも原田式経営を入れようとしている。
    やめてもらいたい幹部がいるが実際はできない。
    経営側が全部会社のことをわかりスーバーマンにならなければならない。
    中国語もでき、業務のことも全部分かるよう自ら変わる必要がある。
    会社のノウハウを全部書面にする。
    分身を一人づつ増やしていくという方法をとる。
    すべての業務を見える化する。

  9. 関さんがよその会社に移り原田式をやるとしたら,最初にやることは?
    意識を変えて信頼関係を築く。
    人を変えられないのであれば、自分が変わり信頼関係を作る。

  10. 原田さんは自分についてこれない人は全部切ったがどう思う。
    きっちり退職金を払い辞めてもらった。在庫を全部捨てた。破産寸前のSOLIDの危機意識があったからできた。
    原田さんはソニー・アイワからの注文を多く持っていた。
    再建する価値のある工場だとソニーからの打診を受けたとき原田さんは答えた。
    変えるのではなく、夢を語っているか?自分を出すことが大切。
    自分の口で企業理念を語ることも大事。

  11. 参加者が原田さんの逸話を披露
    上海のある国営企業の私営化したところが教えを請いに来た。
    影響力のない2代目としてどうしたら良い?
    SOLIDでは親戚等お払い箱にできない人を、総経理室を作って押し込んだ。
    影響力を持たせないため部下は一人もつけなかった。
    ゆっくりしていてくださいと仕事をさせなかった。

  12. SOLIDの離職率は想像以上に高い。
    員工の離職率高いがマニュアル等のシステムで補っている。
    従業員の紹介で皆来るので補充できる。

  13. 今後SOLIDはこの文化を継続できるか?
    経営者が変わると想いが変わるのでこのままいくのは難しいのではないか。




以上


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posted by 林@クオリティマインド at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 原田式経営哲学勉強会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする