愛社精神は二の次,社員の自己成長を願え
愛社精神は企業の求心力にはならない.
特に中国に進出した日系企業に対し,中国人社員に「愛社精神」を求めること自体が難しい.彼らは子供のころから「反日教育」を受けているのだ.
日本国内にある企業でも同様であろう.
若者の労働意識は変化している.
戦後急成長をした頃の日本企業は「長期雇用制度」の下で,会社の成長が個人の成長と同義であった.
長期にわたり社員を育成し,業績につなげる.社員は自分の将来を会社に預けることができた.
しかし今の若者の忠誠心は会社に対してではなく,自らの職業に対してである.
この変化は日本独自のモノではない.世界的に見ればこういう職業観の方が標準的であろう.以前の日本の職業観の方が,世界から見れば「非常識」だったと考えた方が良い.
では会社に対する忠誠心・求心力をどこに求めればよいのだろうか.
それが「自己成長意欲」だと考えている.
会社は社員の自己成長のためのプラットホームを用意し,自己成長するための仕組みと仕掛けを用意する.
これを端的に言い表したのが,冒頭の「愛社精神は二の次,社員の自己成長を願え」という言葉だと理解している.
ところで原田師が経営していたSOLID社のホームページには,原田式マネジメント14か条の中国語版が掲載されている.
冒頭の言葉は次のように中国語訳されている.
『熱愛公司,其次希望公司職工自我成長!』
この訳ではまず「愛社精神」を求めていることになる.
本来の原田師の教えとは異なっている.
この点に関して原田師も気がついておられず,「誤訳だねぇ」と笑っておられた.
すでに社員が皆,自己成長を目指す企業文化が出来上がっているSOLID社にとっては,誤訳でも本来の趣旨が理解されているのだろう.
原田式マネジメント14か条
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