当時,中国ではジョブローテーションはうまく行かないと,自分は思っていた.
事前によく言い含めておいても,異動をさせると辞めてしまう事が多かった.
自分の専門性をシャープにすることにより,短期間でキャリアアップを図りたい.ジョブローテーションによりキャリアアップの効率が落ちる.と中国人リーダは考えていることが多い.
違う仕事に異動させられるのは,前の仕事の能力を否定されたと中国人は感じる.
こんな風に理解していた.
今でもこの理解が全く間違っているとは思っていない.
現に原田師の工場に見学に来る中国人管理者の質問は「JR制度」に集中する.
彼らにも,ジョブローテーションがうまく回るのが奇跡に思えているのではなかろうか.
原田師の工場ではJR制度がきちんと機能しており,部長さんたちは皆複数の部署を経験している.製造部と生産技術のように類似の部署だけではない.
品証部長だった人が今は人事部長をしている.
なぜ原田師の工場SOLID社では「JR制度」がうまく機能したのか考えてみた.
それは従業員が仕事を通して成長することを熱望しているからだ.
一昔前の日本では当たり前だったことが,中国の工場できちんと回るように仕組みと仕掛けを用意してある.
自己成長が自分のメリットになるように制度を整える.その制度がうまく回るように仕掛けがしてある.
こういう土壌を用意して初めて「JR制度」がうまく機能するのであろう.
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