「経験的手法を使わず,独自性を使え」は,
先人の理論・手法を安易に真似をするのではなく,自分自身の論理や手法を持てという教えである.
その原田師から「自分の経営はハーズバーグの衛生理論が基になっている」と聞いたころがある.
独自性にこだわる原田師の口からこのようなことを聞くのは意外であった.しかしよく考えてみれば,原田式経営哲学の根底にあるのはこの「衛生理論」である.
ハーズバーグの衛生理論というのは,臨床心理学者のハーズバーグが提唱した動機付け要因の仮説である.
病気を予防するためには「衛生」は必要であるが,衛生だけでは病気を治療することはできない,というところから「衛生理論」と呼ばれている.「動機付け二要因理論」と言った方が分かりやすいだろう.
動機付けの内的要因(満足要因);
仕事に対する達成感,成果の承認,仕事そのもの,責任,昇進など
動機付けの外的要因(不満足要因);
給与,対人関係,労働環境,作業条件,会社の政策・管理方針など
の二つに分けたときに,外的要因の改善は「不満足の解消」にしかならず,真のモチベーションアップにはならない.
一方内的要因を改善すれば,人は自らモチベーションを上げる.
仕事を通して成長する「自己成長意欲」を求心力とした組織を作り上げる原田式経営哲学の根底には「ハーズバーグの衛生理論」があるといってよいだろう.
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