叱るというのは,相手の成長を願ってするものであり,怒るのは,感情を相手にぶつけることであり,相手の成長を阻害するものだ.
怒りとは合意されていない期待から発生する不満,悲しみの感情である.この感情を相手にぶつけても,怒りに対する更なる怒り,または怒りに対する萎縮しか生まれてこない.
組織を怒りによって「恐怖の統治」をすれば,組織のメンバーは怒られないようにしか仕事をしなくなる.メンバーの成長意欲は満たされず,ただ作業をする者となる.
こういう仕事の仕方をしていれば,組織のリーダの満足が得られる仕事は出来ない.そして更にリーダの怒りが発生するという悪循環だ.
怒られないように,言われたとおりに作業をするから怒られる.
自分で考えて仕事をすれば,例えミスをしても叱られるだけ.
こういう企業文化を築かなくては,組織の活性化は無い.
原田師はよく「叱られているうちが花,褒められるようになったら終わりだよ」と部下に言っていた.
私は部下を褒めて育てるのが得意だったので,原田師の言葉に納得できなかった.しかし今は「叱られる」ということは,自分の成長を期待されているということだという教えと理解している.
私は,叱ると怒るの違いをきちんと理解していれば,褒めることも叱ることも相手の成長を即すことができると思っている.
右の書籍は,谷口祥子さんの「ほめ方のルール」という本だ.
この本にはほめ方のルールの他に,叱り方のルールも解説している.
内容を少しご紹介すると,
・「叱る」と「怒る」の違いを知ろう
谷口さんは昔和菓子店でアルバイトをしていたことがある.このとき包装が上手に出来ず,お客さんから「ごめんね.これは大切な人に贈る物だから,もう一度包み直してくれる?」といわれたそうだ.
この様に叱られたのならば,アルバイト店員の心にストンと落ちる.
これが「包みかただへただ!」と怒られたらば,反発心が発生するだけで,反省心は発生しない.
・「Iメッセージ」で叱ろう
「Iメッセージ」というのは自分の感想,思いを伝えるということだ.一方「Youメッセージ」はお前は××だ,と決め付けること.
叱る時は「お前の態度はなっていない」と言うのではなく「私はお前の態度を不愉快に感じた」と叱ろう,と言うルールだ.
谷口さんの「ほめ方のルール」は部下を持つリーダには大変参考になる書籍だ.
「原田流叱り方のルール」を次回のコラムで紹介しよう.
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