原田師の叱り方のルールはこうだ.
当然ながら叱る時は,その場で叱らなければならない.
往々にして「怒り」の感情は,後を引く.あの時「ああだった」「こうだった」と言う叱り方の根底に,「怒り」の感情が無いか冷静に見直してみる必要がある.「叱る」と言うことは相手の成長を願ってするものだ.感情の記憶から叱ったのでは,相手はうんざりするだけだ.
今を叱っているはずが,次々と昔のことを蒸し返してしまう上司がよくいるものだ.これでは今指導したい内容が薄れてしまう.
中には,今その場で叱らなくてもよい問題もある.
例えば,間違った考え方を矯正してやるような場合だ.
この場合は朝叱ってはいけない.朝一番に,今日も頑張るぞ,と思いを込めている最中に叱られたのでは,一日のモチベーションが朝から下がってしまう.
こういう問題は,定時間際に指導をする.仕事が終わって考える時間を与えるのだ.
同様に,給料日直前に叱るよりも,給料日直後の方が指導の効果が上がる.
要するにヒトのココロを理解し,ココロを活用すると言う「原田式経営哲学」の中核をなす「人心活用」の応用である.
中国の成語に「七擒七縦」と言うのがある.
この成語は,諸葛亮が敵の南蛮王孟獲を捕えては逃がすことを繰り返す.七度目に逃がされた時についには孟獲も諸葛亮に心服し,以降諸葛亮を裏切ることはなくなったという故事から来ている.
これを「叱る」と言うことにフォーカスして解釈すると,
部下のミスを何度も叱り,そのたびにミスを許してやる.7度目には部下も心服し,ミスを犯さないよう努力する.と解釈できるだろう.
仏の顔も三度までと言いうが,三度では足らないようだ.
部下の育成は忍耐だ.
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