「手拉手」というのは中国語で,「手に手をとって」という意味である.
原田師が経営していたSOLID社には「手拉手」という小集団活動があった.QCCのような小集団活動とは少し違うが,製造現場の作業員が5,6人のグループを作り,毎日就業後に10分程度のミーティングを行う.
このミーティングでは,職場環境や作業方法に関する不満などを話し合う.話し合いの結果は簡単なメモにして,所定の置き場所においておく.
翌日担当者が全てのグループのメモを集めて,一覧表にする.この担当者は,専任でこの仕事をしており,ただ集計するだけが仕事ではない.出された問題がきちんと解決するまでフォローするのが仕事だ.
この様な仕組みで,作業者の不満や改善点を拾い上げている.
投書箱と同じような機能だが,原田師は「直訴」を許していない.「直訴」は厳罰に処すというのが彼の考えだ.
ネガティブなことを書く,ということをさせないようにしている.書いた物は記録に残る.こういう形でネガティブなことを積み上げても意味が無い,かえってマイナスだ.
問題点は語り合うことにより,解決への一歩を踏み出す.投書では何も始まらない.自分たちの問題は,まず自分たちで考えよう,ということを従業員に教え込んでいる.
例えば,「手拉手」で食事がまずいと発言した作業員がいると,班長や課長はどういう指導をしているのかと,指導を受けることになる.
(誤解なきように説明しておくと,SOLID社の食堂は日本人の私が食べても決してまずいものではない.たった2元で,衛生的且つ気持ちの良いサービスを受けながら食べられる)
自分たちにどうにもならない問題点は,「手拉手」の担当者が適切な上位者に上げる,そして彼女が解決するまでフォローすることになっている.
原田師の工場では,全ての従業員が自立し他人に迷惑をかけない人間に成長することが要求されている.そして従業員同士でその成長を助け合うように仕向けているのだ.
posted by 林@クオリティマインド at 23:09|
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